0センチの境界線


「ハシ先輩、今日は目元オレンジ色だ!可愛い!」

「そうなの〜。雛ちゃん毎日褒めてくれて嬉しい」



へー、オレンジ色。よくわかんねえ。

会話についていけない俺は、ただただ無言でりんねーさんが出してくれた朝ご飯を頬張る。


りんねーさんは、管理人さんからアルバイトとして雇ってもらってこうしてご飯を作ってるらしい。

お仕事だから手は抜けない、ってのがりんねーさんの口癖で、そのおかげですっごい美味しいご飯が毎食食べれるって昨日雛が嬉しそうに話してた。



「そうだ、5号室くんは2号室くんにはもう会ったの?」

「………あ、俺っすか?」

「うん。俺だよ〜?」



会話のテンポがゆったりすぎて、毒気抜かれる。

雛と橋田さんの会話なんにも聞いてなかったから、どうしてその話になったのか全然分からない。



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