0センチの境界線


「なっ、そんなの飛鳥から見た右かわたしから見た右かわかんないじゃん!」

「あーハイハイ。スイマセンネ」



朝から雛はうるさい。だけど、嫌じゃない。


いつも通りの俺たちの口喧嘩を見て、橋田さんとりんねーさんが、仲良しさんなんだねって笑った。

それがなんかこしょばゆくて。ムズムズする。



「りんねーにハシ先輩。なんか今日ニヤニヤしてておかしい」

「雛ちゃんの気のせいだよ。ね、ハシちゃん」

「うんうん、気のせい気のせい〜」



拗ねたみたいに、プクって頬をふくらませる。

そんな雛をほんの少しだけ可愛いなって思うのは、動物に対する可愛いと種類は同じ。
多分、絶対。




■□■



「えー!宮飛鳥って本名なの!すっごい!」



失礼な女は、どこまでも失礼だった。

はじめての席替えで、はじめて隣になって、はじめて顔合わせて、はじめて話すクセに。

どうしてか、むちゃくちゃ腹が立つやつだった。



「なにがすごいの?」


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