0センチの境界線
女ってのは、めんどくさい。
裏では何考えてるかわかんなくて、猫なで声で俺の名前を呼んで。
俺が思った通りの反応を返さないと、癇癪起こしたみたいに当たり散らす。
きっとこのちっこいやつもその類なんだ。
話のはいりは少し変というか失礼だけど、結局帰結するところは、飛鳥くんって呼んでいい?とか。彼女いるの?とか。そーゆーめんどくさいやつ。
チラリと目を輝かせていた小さいヤツを一瞥すれば、今度はビックリしたみたいに目をまん丸にしていた。
チョットだけ、小動物っぽいなってそんとき思った。
「なにがって、宮飛鳥って────」
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「あんの、クソ。バカ。バカ雛」
朝ご飯を食べ終えて、りんねーさんにご馳走様って言って、部屋に戻って準備して。
さあ、学校に行こうって玄関に立った時、なぜだかもう雛のちっこいローファーはなかった。