0センチの境界線


女ってのは、めんどくさい。

裏では何考えてるかわかんなくて、猫なで声で俺の名前を呼んで。

俺が思った通りの反応を返さないと、癇癪起こしたみたいに当たり散らす。


きっとこのちっこいやつもその類なんだ。

話のはいりは少し変というか失礼だけど、結局帰結するところは、飛鳥くんって呼んでいい?とか。彼女いるの?とか。そーゆーめんどくさいやつ。


チラリと目を輝かせていた小さいヤツを一瞥すれば、今度はビックリしたみたいに目をまん丸にしていた。

チョットだけ、小動物っぽいなってそんとき思った。



「なにがって、宮飛鳥って────」



■□■




「あんの、クソ。バカ。バカ雛」



朝ご飯を食べ終えて、りんねーさんにご馳走様って言って、部屋に戻って準備して。

さあ、学校に行こうって玄関に立った時、なぜだかもう雛のちっこいローファーはなかった。


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