0センチの境界線


「まあいいけど。てか、今日は言わねえの?」

「な、にを?」



全部の返答が上ずった声になる。
こんなの変すぎる。飛鳥にバレちゃう。



「一緒に帰りたくねえって。周りの目が痛いからって。俺ら今、相合傘してんだけど、それわかってる?」

「あいっ!?あ、いや、うん、わ、わかってる……」



言われてみたら、確かに。

前までのわたしなら、相合傘なんて絶対に回避すべきことだし、雨に濡れて帰るって言うだろう。

でも、今は。むしろ嬉しいって、思っちゃってる、かも。



「…………やっぱ雛おかしいだろ。熱でもある?」

「ナイナイナイナイ!平熱!すっごい平熱!平熱すぎて、もう、平熱」


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