0センチの境界線


ポカンって立ち尽くしていた俺にりんねーさんが、雛ちゃんさっき出てったよってご親切に教えてくれたのは、ほんのついさっき。



「………ほんとアイツ、はじめっからムカつくやつだし今もムカつくし腹立つ」



ブツブツブツブツ。駅へ1人で向かう俺のこと、犬の散歩してた近所のおじさんが変な目で見たけど、気にしないことにする。


雛は、思い出せば出すほど失礼なやつだ。

失礼で、パーソナルスペースの距離感がバグってる。




────なにがって、宮飛鳥って平安貴族みたいじゃん!


キマッタ、みたいな雰囲気だしてそう言い放った雛の顔は今でも鮮明に思い出せる。

思い出せるから腹が立つ。






────でもさ、間違っても、絶対誰にも言わないで。


必死に懇願してた雛。少し考えれば、アイツの行動パターンなんてわかったのに、先回りできなかったこと、ちょっと後悔。

どんだけ歩く速度をはやめても、雛の背中は見えてこない。

ちっこいクセに歩くのはやいってのは、雛の特徴。

俺より短い足、たくさん動かしてちょこまか進みやがるんだ。




「あれ〜?5号室くん雛ちゃんとがっこ行かないの?」


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