0センチの境界線


「俺は何もした覚えない。変わったことしたって言えば、お前の入れ知恵のやつなんだよ、」





────山之上さんみたいな女のコの落とし方、俺が教えてやるよ。


佐々木がからかうようにそういったのは、俺が雛の誕生日のことを相談した時。

普段の俺なら佐々木のそんな言葉に惑わされるわけねえのに。

あの日は兎に角、誰かにアドバイスをもらいたかった。




────ああいうウブな子は、ガツガツいってもダメなわけ。男だしたらダメなの。


確かに。俺がどんだけアピっても。あいつはなんにも気づいてない。
というか、意識すらしてくれてない。

押し倒しても、耳噛んでも。平気な顔して。

なんなら、いちばん雛が焦ってたの、お姫様抱っこじゃん。なんだよそれ。


< 183 / 288 >

この作品をシェア

pagetop