0センチの境界線
携帯をポケットから取り出して、虫眼鏡アイコンをタップする。
もちろん検索ワードは、学園王子とレンアイ中。
「別に、俺は、雛がどんな漫画好きか、ちょっと見てみるだけだから。ほんとに、それだけ。気になってもねえし、これで雛の好み勉強しようとか、王子について勉強しようとか、そんなことはちっとも思ってねえ。絶対思ってねえから、」
誰に言い訳してるんだか、わかんない御託を並べてる間に。
いつの間にか、指が勝手に動いて、画面には購入完了通知。
「……………バカかよ」
電子書籍のマイ本棚に並んだ全15巻の少女漫画に小さくそうつぶやく。
──────ほんと。雛のことになると俺はバカになってしまうらしい。