0センチの境界線
……………予定なんかねえだろ。ただ俺と一緒に行きたくなかっただけ。
そう言ってしまえばいいのに、なんか負けた気がするから言いたくない。
「……多分アイツ日直なんですよ」
大嘘つき。今日の日直はアイツなわけない。
だってついこの間、日誌が書けないって悩んでたの見たから。
「そういうことか〜!じゃあ、5号室くん置いてかれたわけじゃないんだね、良かったね〜?」
ふふふって笑った橋田さんは、全部見透かしてるみたいでちょっと怖い。
出会って1日くらいなのに、橋田さんってなんか特殊な目でも持ってんのか?
「頑張ろうね〜悩めるダンシクン!」
「……はい?」
ああ、俺。たぶんこの人苦手かも。
綺麗なはずの笑顔がちょっと意地悪に見えて。
そう感じずにはいられなかった。