0センチの境界線


「おっはよー!ってことねん、そこわたしの席」

「おはよ、凪紗。席借りてる」

「なぎちゃん、おはよ」



遅刻ギリギリにくるなぎちゃんこと凪紗ちゃんが今日はちょっと早く来た。

それのほうが緊急事態だと思うんだけどな。


なぎちゃんはわたしの前の席。

や行のわたしとま行のなぎちゃん。

2年生になって仲良くなった大事な友達。




「ことねん、ひななんに尋問中?怖い顔してどしたの?」

「うん、雛なんか変なんだよね」

「えーんと……琴音、わたし普通だと思うけど……」



小首を傾げ琴音を見つめるけれど、疑いの眼差しは全然消えない。



「琴音……?あの、聞いてる?」

「いや、やっぱおかしい。すっごいおかしい。雛、変なもん食べたでしょ」

「食べてないよ!?琴音何言ってんの!?」

「ことねん、容疑者ひななんはナーンにも覚えがないみたいだけど、一体何が変なの?」

「凪紗、よく聞いてね。雛、今日まだ宮くんと毎朝恒例の口喧嘩してないの」

「…………………はい?」





■□■



「おい、なんだよ、引っ張んなって」

「飛鳥、タイヘンなの」

「…………は?」



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