0センチの境界線
「いくらお化粧だめでもリップくらいはいいよね〜?色つきリップ持ってる?」
「あ、持ってない、です」
「じゃあ今から買いに行こう!まだお夕飯まで時間たっぷりあるよ〜!」
わたしが呆気に取られている間に、ハシ先輩は立ち上がって。
わたしの手を引いていく。
「あの、ハシ先輩?」
「ん〜?あ、そうか。ジャージじゃお買い物いやだね。お着替え先にしよ、」
「あ、いや、」
ハシ先輩がいつになくルンルンしている………!?
音符が出そうなハシ先輩は、いつもに増して可愛い。
「雛ちゃん、明日はとーっても可愛くしようね」
ニコニコって、わたしの方を見てハシ先輩が微笑む。
どうしてこんなにご機嫌なのか。
なんだかよく分からないけど、ハシ先輩のその笑顔に見つめられてしまったら。
わたしは、うん、と頷くことしか出来なくなるのだ。