0センチの境界線
「…………こく、はく」
琴音に抱きしめられながら。
ポツリとつぶやいた自分の言葉に、心臓の音が大きくなる。
意味はわかってる。
ハシ先輩に聞かなくたって、分かってた。
だけど、誰かに聞かないと、空耳なんじゃないかとか、夢見てたんじゃないかとか、頭がこんがらがっちゃう。
本当に今日の放課後、飛鳥と一緒に帰るのかな。
本当に今日わたしは、飛鳥を教室で待ってるのかな。
全部全部、都合のいい夢なのかな。