0センチの境界線


「きょ、う、飛鳥と話してない…もしかしてやっぱり夢…?」



机に座って、ハッとする。

部活が終わったら迎えに行くからって、たしか昨日言われたけど。

ほんとに言われたっけ?

わたしの都合のいい耳が、勝手にそう変換しただけ?


飛鳥はいつも通りで。

朝起きてすぐ、おはようって言われて、おはようって返して。

わたしだけドキドキしてるみたいだった。

飛鳥はなんにも変わらず、朝ご飯食べてるし、なんにも変わらず制服に着替えてるし、なんにも変わらず先に学校行くし。


わかんない、どうしよう。

ほんとにもう放課後?もう1回学校始まったりしない?




ドッドッドッドッドッドッ。

ひとりきりの教室で、うるさい心臓がなってる。


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