0センチの境界線



「雛、」



飛鳥が笑った。


雛って呼ばれると、胸がキュンってする。
それから、ドキドキして、雛って名前がすきになる。


ふわふわ浮いて気持ちがいい。

雲の上みたいなところにいるわたしと飛鳥は、ふたりともおそろいの笑顔で笑ってる。


期待するのが怖かった。
傷つくのが怖かった。

だけど、今は、そんな思いは消えてて。

はやくお揃いの気持ちの答え合わせがしたいって、思うんだ。



「飛鳥、あのね、」



ずっとずっと、わたしは、飛鳥のこと────









「起きろ、バカ雛!」


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