0センチの境界線


夢の中ではあんなに勇気が出てたのに。
現実になったら途端に弱気だ。


おそろいの気持ちってなに?
飛鳥の告白ってなに?

もう告白の意味までわからなくなってきた。


「雛、」

「なに、」



飛鳥のほうを見ずに返事する。

怖かった。
さっきの勇気はどこいったの?
夢の中に全部捨ててきちゃった?



「こっち見て」

「っ………!」



びくっと肩が震える。

しまいかけのノートを手に持ったまま、顔を上げれば、柔らかく笑う飛鳥がいて。

ドキッて。何回目か分からない音を心臓がだした。


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