0センチの境界線
「緊張してんの?」
「し、してな、い」
「すぐ目逸らすなよ」
「逸らしてない」
「逸らしてんじゃん」
「違うし」
ようやくしまえたノートたちを入れたスクバを肩にかけて立ち上がる。
ドキドキしておかしくなりそうだった。
聞きたいのに、聞きたくない。
一緒にいたいのに、いたくない。
矛盾で心が埋め尽くされる。
「雛!」
いそいそと背中を向けたわたしに、飛鳥がそう呼ぶ。
ずるいよ、飛鳥はずるい。
全部ズルすぎる。
「なに、」
声が震える。
早く言って欲しい。
言わないで欲しい。
「───────好き」