0センチの境界線
「聞き間違えなのかなって何回も思ったし、飛鳥はいつも通りなのにわたしだけ緊張してドキドキして、嘘なのかなって思ったし、それで、」
「………雛ってバカ?」
「なっ!?」
「俺だって緊張してんに決まってんだろ」
「…………!?」
飛鳥がわたしの腕を掴んでいた手のひらをスライドさせて、手を握る。
そのまま、わたしの手のひらは飛鳥の胸の辺りにもっていかれて。
確かな振動が、伝わってくる。
「なんか、今日の雛、いつもより可愛いし、」
「えっ、んと」
「なんなのほんと。その髪俺のため?」
「う、ん………一応、」
「……………勘弁して」
飛鳥の顔が赤く見えた。
夕焼けのせいなのかそれとも違うのか、わたしにはわからない。