0センチの境界線


その言葉と共に、飛鳥が不敵に微笑んで。

それから、わたしの目の前は、飛鳥でいっぱいになった。


唇に、柔らかいものが、あたった。

驚きすぎて見開いた目はどこにも焦点が合わない。

代わりに、シトラスみたいな甘い爽やかな香りが鼻をかすめる。



「………っ……!」



優しくなぞって、少し噛んで。

角度を変えて何度も落とされる初めての感覚に目眩がする。


唇が熱を帯びて、その熱が身体中に伝染する。


わかんない。どう答えればいいのか全然わかんない。

いつの間にか腰からは離れて、首の後ろと顔の横に添えられたおっきな手のひらが、わたしの動きを誘導する。



「っ………ん…」


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