0センチの境界線
「おっせえんだよ!バカ!」
「なっ!?飛鳥が早すぎるだけじゃん、」
セミがうるさくてアスファルトからの熱と太陽からの熱で身体が焼け焦げそうな、そんな夏の日。
玄関先で不機嫌に立っていた飛鳥は、すごい怖い顔をしていて。
思わずわたしは、目をそらす。
「なんでこっち見ないわけ?」
「飛鳥が怒ってるから、」
怒った飛鳥の顔ってほんとに怖いんだから。
そういう昔のお面みたいで、それで、後ろから黒いオーラを放ってるの。