0センチの境界線


「怒るだろ、雛のせいで間に合わねえんだよ、知ってんのか?映画ってのは決まった時間にやるんだよ」

「そ、んなこと知ってるよ!バカ!」



準備に時間かかる女のコの気持ちくらいわかって欲しい。

そんなこと言ったら、だったら早く起きろって言われるのわかってるから言えないけど。


可愛くいたいんだもん。
可愛いって思われたいんだもん。


どうして飛鳥はそういう気持ちわかんないのかな。



「ぼーっとしてんなよ!映画始まるっつってんだろ、」

「まっ、待って!」



先に走り出していた飛鳥に追いつこうと走り出せば、飛鳥の背中はすぐに近くなって。

わざとゆっくり走ったりするそういう微妙な優しさに、キュンってしちゃう自分が負けた気がして嫌。


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