0センチの境界線
「モテるって大変だねー」
「…………うん」
絶対思ってないじゃん。
てか、なんでこんなに俺とばっか話そうとするわけ?
興味なさそうに話されるとめんどうなんだけど。
「ねえ、山之上さん」
「んー?」
「他の人とは話さないの?」
「えっ、」
「俺とばっか話してるけど、前の席とか反対側の席とかの人とも話したら?」
高校1年生。はじめての席替えの翌日。
周りは知らない人ばかりだし、この失礼女だったら誰にでもグイグイ行けるだろう。
そう思って、何気なく提案したのに。
俺の言葉を聞いた山之上さんは、驚いた顔をしてから、黙りこくった。
…………え?なに?俺なんか変なこと言った?