0センチの境界線
「男のコ、ばっかりだから、」
「は?」
ぽつりぽつりと。すごく言いにくそうに言葉を重ねた山之上さん。
意味がわからなくて、俺は眉を寄せる。
「前も横も全部男のコばっかで、男のコと話すの苦手だし、だから、」
「は?ちょっと待って。俺はなんなの?」
つい口調が荒くなる。
女子の前では基本、よほど面倒な人でない限り、優しくいるのが俺のモットーなんだけど。
この人の前だとつい調子が狂う。
「え?宮くんは宮くん」
「は?」
「宮くんは、宮くんだよ」
「意味わかんないんだけど」
「うん、わたしもわかんないんだけど、宮くんはなんか特に何も感じない」
「………はあ!?」
「男のコなんだけど、男のコじゃないと言うか…」
「いや、どっからどう見ても男だろ」
「うーん、確かにそうなんだけど、」
困ったように山之上さんは首を傾げる。