0センチの境界線


「男のコ、ばっかりだから、」

「は?」



ぽつりぽつりと。すごく言いにくそうに言葉を重ねた山之上さん。

意味がわからなくて、俺は眉を寄せる。



「前も横も全部男のコばっかで、男のコと話すの苦手だし、だから、」

「は?ちょっと待って。俺はなんなの?」



つい口調が荒くなる。

女子の前では基本、よほど面倒な人でない限り、優しくいるのが俺のモットーなんだけど。

この人の前だとつい調子が狂う。



「え?宮くんは宮くん」

「は?」

「宮くんは、宮くんだよ」

「意味わかんないんだけど」

「うん、わたしもわかんないんだけど、宮くんはなんか特に何も感じない」

「………はあ!?」

「男のコなんだけど、男のコじゃないと言うか…」

「いや、どっからどう見ても男だろ」

「うーん、確かにそうなんだけど、」



困ったように山之上さんは首を傾げる。



< 279 / 288 >

この作品をシェア

pagetop