0センチの境界線
どうして。なんで。わかんない。
頭の中はそれでいっぱいなのに、胸の鼓動だけが素直に早くなる。
ただ笑っただけ。
すきでもきらいでもない、どっちかと言うと嫌いの部類に入りそうな女が笑っただけ。
タイプでもないし、絶世の美女でもない。
なのに、なんど瞬きを繰り返しても、衝撃が消えない。
「宮くん?」
山之上さんがいきなりフリーズした俺を見て首を傾げる。
なんでかわかんないのに、そのちょっとした動作ですら、どこか愛おしい。
意味わかんない。ありえない。