0センチの境界線


■□■


プシュー、と空気が抜けるみたいな音を立てて閉じた電車の扉。

いつも通りなのに、少し心がふわふわして変な感じ。


わたしのより一回り大きいローファーをなんとなく蹴ってみる。

特に意味は無い。ほんとに、なんとなく。




「なんだよ、」

「いーの?ポニーテール子ちゃんとフワフワ子ちゃん」

「誰だよそれ」

「さっきのふたり」

「そんな名前なの?」

「知らない、さっき付けた」




たくさん座席はあいてるけれど、なんだか座りたくない。

座りたくないというか、飛鳥が座らないからなんとなく座らない。



「女と帰るとかめんどくせーんだもん」

「わたしも女のコだけど」




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