0センチの境界線
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プシュー、と空気が抜けるみたいな音を立てて閉じた電車の扉。
いつも通りなのに、少し心がふわふわして変な感じ。
わたしのより一回り大きいローファーをなんとなく蹴ってみる。
特に意味は無い。ほんとに、なんとなく。
「なんだよ、」
「いーの?ポニーテール子ちゃんとフワフワ子ちゃん」
「誰だよそれ」
「さっきのふたり」
「そんな名前なの?」
「知らない、さっき付けた」
たくさん座席はあいてるけれど、なんだか座りたくない。
座りたくないというか、飛鳥が座らないからなんとなく座らない。
「女と帰るとかめんどくせーんだもん」
「わたしも女のコだけど」