0センチの境界線
「………遅いんだけど、」
不機嫌そうな朝の飛鳥。
覚えのない難癖をつけられたわたしは、玄関先で口をポカンと広げた。
「雛ちゃんと、5号室くん?あ、そっか。今日は一緒に行くんだったね〜」
自転車登校のハシ先輩が、少し意味不明な言葉を発してから行ってきますって、手を振った。
ポカンって口を開けながらも何とか手を振り返したわたしは、すっごく偉い子だと思うんだ。
「いつまでそのあほ面してるわけ?」
「……待ってわかんない」
「は?」
わかんない。すっごくわかんない。