0センチの境界線


「……っ…」




……ああ、やっぱり。飛鳥って頭悪い。


自分がどれくらい顔が整ってて、それがどれくらい罪なことで、そんな飛鳥にわたしはどれくらいドキドキしちゃったことがあるのか、全然わかってない。



「飛鳥のバカヤロウ」


ふいって思わず視線を逸らした。

飛鳥の真似っ子。


嫌だなあ。ほんと。
友達特権にもほどがあるよ。

こんなの、わたしじゃなかったら、大事な友達減らす行為だよ、バカ飛鳥。



■□■



満員電車。いつもは押されて潰されて。

ちっこいわたしはさらにちっこくなるんだけど。

今日は少し違ってる。




「……駅までって言ったのに」



ウソ。何でかわかんないけど、本当は嬉しい。気がする。



「俺も駅までのつもりだったけど、雛ちっせえからカワイソウだっただけ」



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