0センチの境界線
「わたし代わる?」
「は?」
「いや、だから。場所かわろうかって、」
「ほんと雛はバカだな」
「なっ、バカじゃ、」
「女に守られるほど俺やわじゃねえよ」
こーゆーときだけ、女のコ扱いするんだ。
ドッドッドッて。心臓が破裂しそうに動いてる。
こんなのは飛鳥が原因じゃない。わたしの不整脈が原因なんだ。不整脈ってなんなのか知らないけど。
頭がなんかこんがらがる。
原因と結果が、結びつかない。結びつけたくない。
こんな気持ちは、多分人生の中ではじめて。
「………飛鳥はほんと頭悪い」
■□■
降りる駅についたら、飛鳥はなんにも言わずに電車から降りた。
それから、わたしのことなんかなんにも見えてないみたいなフリして、改札を出ていくの。
「……ヤナカンジ」