0センチの境界線
遠ざかって見えなくなる飛鳥の背中に、少しだけ悪口を言う。
一体何がヤナカンジで、一体何にイラついてるのか、自分で自分がよくわからないけど、ヤナカンジなものはヤナカンジだ。
じゃーな、とか。また後で、とか。
何か言ってそれから離れたっていいのに。
駅に着いたらはい他人、みたいなの、少し気分悪い。
……バレないようにしてって頼んだのはわたしだけど。
わたしは、宮飛鳥の生物学上の女のコの中では1番の友達で1番の理解者だ。
これは、1年生の時にわたしが勝手に決めたわたしの中のルールで、誰になんと言われようとやめるつもりはない。
飛鳥と仲良しなの女のコって言われたら、わたしの名前が上がって欲しい。
飛鳥のことよく分かってる女のコの事聞かれたら、わたしだって答えて欲しい。
知り合って1年とちょっと。
そんだけしか一緒にいないけど、飛鳥のことは他のコよりは分かってる。多分。