0センチの境界線
「……うん、俺の勝ち」
「うぅ…………今日もわたしの負け?」
───放課後、5時半。わたしの部屋。
毎週恒例のアノ時間。
白と黒の盤面は、黒が圧倒的。
4つの角は全部黒。もちろん、わたしは白だ。
「前田くん、手加減ってやつ知ってる?」
「うん、知ってるけどしたくないかな」
イケメン秀才、2号室の前田くん。
茶髪で、目がクリンってしてて、肌は綺麗で、似合わないピアス。それが前田くん。
そして、毎週水曜日は前田くんとわたしのお約束の時間。
はじめは共有スペースで戦いをしてたんだけど、そこで出来る遊びには限度がある。
いつしかお夕飯の前、決まってどっちかの部屋にいってゲームをするようになった。
ゲームは本当にたくさん。
テレビゲームのときもあるし、ボードゲームのときもある。
とにかく、前田くんとわたしは、週に1度戦うのだ。
「ねー、やっぱりテトリスにしよう」
「山之上さん、テトリスだいすきじゃん」
「テトリスがすきなんじゃない、前田くんに勝てるテトリスがすきな、」
「雛!入ん…………………誰?」
■□■
「えーと、前田くん。こちらは女の子の部屋にノックもしずに入る不届き者で、すごくムカつく宮飛鳥」
「………どうも」