0センチの境界線
「飛鳥、こちらは超絶エリート高校に通ってて、頭がすんごく良くて、それで、かっこ………なんでもない、な前田くん」
「………宮くん、よろしくね」
わたしの部屋で対面して座る前田くんと飛鳥。その真ん中にわたし。
なんか変な光景だな。
前田くんは、水曜日以外は学校帰り塾にいってて、ご飯を寮では食べない。
まだココにきて4日目の飛鳥は、初めて前田くんとご対面したのだ。
ちなみに朝はゼロ限ってやつがあるらしくて、朝食の時間も被らない。
頭がいいって大変なんだなーって前田くんを見てると思う。
「宮くんと山之上さんは仲がいいの?」
「うーん、少しだけ!」
「少しって、山之上さんはやっぱり面白いや」
はははって、前田くんが笑った。
うっ、イケメンの笑顔って尊いな……………。
前田くんに面白いって言われると、何でかわかんないけど、賢い人に褒められて賢くなった気分になれるから不思議だ。
「………前田……くんと雛は仲良いわけ?」
ムスッて明らかに不機嫌な飛鳥が、そう言いながら前田くんを睨む。
えー。待ってよ。
飛鳥ってコミュニケーション下手くそなの?
初対面の人には喧嘩売るってポリシーでも持ってるの?
なんでそんなトゲトゲしてるの?
「うん、山之上さんとは仲良くさせてもらってるよ」
そんな喧嘩腰の飛鳥に対しても大人な感じの対応をする前田くん。
うん、やっぱりかっこいい。
飛鳥みたいな顔だけイケメンじゃなくて、前田くんは中身まで清く美しいイケメンなのだ。