0センチの境界線


───わたしは自惚れていた。


学年イチのモテ男で、漫画のキャラみたいにかっこよくて。

そんな飛鳥がわたしだけ相手してくれるから。

あの日のわたしは自惚れていたんだ。

だから、あんな間違いを起こしそうになったんだ。



その日の夕方。教室で飛鳥とふたりきり。

どうしてそうなったかわかんないけど。
真っ赤な夕日が窓から差し込んでたことは、鮮明に覚えてる。



「飛鳥、」

「なに?」



むずがゆくて、心地よかった。

すきっていったら、すきって返してくれそうな、そんな空気。



「あのさ、」

「うん、」



< 54 / 288 >

この作品をシェア

pagetop