0センチの境界線


飛鳥が、真っ赤になったわたしの足首に氷を当てる。

思った以上に冷たくて、ひいって可愛くない声出しちゃったの、飛鳥には聞こえてないはず。多分。



「………昨日ごめんな」



びくって。思わず体が動いた。

どんなごめんなのか、わかってるけどわかりたくないようなそんな気分がする。


飛鳥の顔が見えない。

見えないから、何考えてるのかちっともわかんない。




「なに、が?」



強がったっていいことないのに。

声が少し震えたの、飛鳥は気づいてないといいな。




「なんでも」



なんでも、って。そのひとことに何が隠されてるのか、わたし全然わかんないよ。

わかんないから、全部ちゃんと言って欲しい。



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