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実は、わたしが捻挫したって聞いてから、ヤマさん定期的に様子見に来てくれてたの。神様みたいに優しい。
「僕にお礼を言うのも大事かもしれないけれど……ちゃんと飛鳥くんにもお礼言うんだよ?」
困ったように眉を下げるヤマさん。
ねえ、ヤマさん。わたしヤマさんのその顔に弱いんだから、やめてよ。
………飛鳥。
わかってる。飛鳥はちゃんと毎日わたしと学校に行ってくれた。
荷物は全部持ってくれて、ゆっくり歩いてくれて、なんかいつもより優しいの。
飛鳥がいなかったら、家から駅までの道とか、満員電車とかもっと大変だったと思う。
なんだかんだ、睨まれるの嫌って言うわたしの要望通り、人目が多い駅から学校までは、琴音とかなぎちゃんにわたしのこと任せてくれて。
琴音となぎちゃんは、なんで毎日宮くんが駅まで雛と一緒に来てるの?って少し不思議がってたけど、それは何とか誤魔化せてる…………と思う。