0センチの境界線


「そう!ソウナンデス!」

「は?」

「借りを、返したいんです!」



とりあえず目を輝かせてみる。
飛鳥、キラキラした目苦手なの。

この顔すると、わたしの勝率アップ。



「ほら、飛鳥って理系脳でしょ?利益主義でしょ?」

「………いや、お前と同じ文系クラスなんだけど俺」

「いつ何時、あの時の借りを返せ!助けてやっただろ!って言われるの怖いじゃん」

「………俺は、雛になんだと思われてんの?」

「だから、足も治ったし、約1ヶ月登校を手伝ってくれた借りを、返したいとオモイマス」



ありがとうって素直に言えばいいのに〜?って。
心の中の架空ハシ先輩がわたしを笑ってる。


わかってるよ!たった5文字って!

でも言えないんだもん、わかんないけど言えないの。



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