0センチの境界線
「わたしにできることなら、なーんでも言って!拒否権は一応あるけどできるだけ承諾する」
雛くん………って。
心の中のヤマさんが呆れたような、困ってるような顔してわたしを見てる。
やめて、ヤマさん。その顔でわたしを見ないで。
「…………なーんでも、って言った?」
飛鳥の顔つきが変わる。
いつもとはちょっと違って、噛みつかれそうな顔。
それが少しだけ怖くて、心臓がギュッてなった気がして、視線を逸らす。
「言ったけど、拒否権はいちお…………!」
───拒否権は一応ある。
そう言いかけた口は、飛鳥が急にわたしを反対側に引っ張ったのにビックリして動かなかった。