本日、総支配人に所有されました。~甘い毒牙からは逃げられない~
「存じ上げております。穂坂 一弥様ですよね?」

「恵里奈ちゃん、正解!今日はね…、とても大事な彼女が来る事になってるんだ。色々と噂は聞いてると思うけどね、本当に大切な人で…プロポーズしようかな?って思ってる。だから、最高な1日になるように願っていてね」

「かしこまりました。最高の1日になりますように精一杯のお手伝いをさせて頂きます!」

私は深々とお辞儀をした。穂坂様は穏やかな表情を浮かべ、私に大切な1日を託した。様々な女性との噂があったとしても、生涯を共にしたいと思える女性に出会えたのなら、その奇跡は素敵なものだ。今まではそんな運命の女性に出会えなかっただけで、本当は一途なのかな?

プロポーズをする為にスイートルームへの予約をするなんて、それだけでも女性は心をくすぐられると思う。

一旦、穂坂様の部屋を出てルームサービスまでの時間を業務の確認の為に使う。

「予約のシャンパンにグラス…、カトラリー…全部OK」

「不安なら俺も一緒に行こうか?」

「心配しなくても大丈夫そうですよ。穂坂さん、良い人そうでした。高見沢さんだから言いますけど…、今日プロポーズの為に予約したんですって!」

「……へぇ。上手く行けば良いけどね」

ルームサービスをお願いしてあるフレンチレストランに確認の為に出向くと高見沢さんが心配そうに私の傍に居座る。高見沢さんは素っ気ない態度を取っているが、ルームサービスが終わるまでは見張っていると言われた。

そんなに心配しなくても穂坂さんは紳士的だし、親しみやすそうな感じ。週刊誌の常連組だけれど、女性関係以外は問題ないと思われたが……。
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