本日、総支配人に所有されました。~甘い毒牙からは逃げられない~
ロイヤルスイートルームと呼ばれる部屋は最上階に3室、スイートルームはその下に5室完備している。現在、ロイヤルスイートのみが、各部屋に専属バトラーがついている。

チェックイン時の荷物の荷解きや頼まれたお使い、ルームサービスの手配など、お客様の御要望により動かなければならない。

私はロイヤルスイートの専属バトラーになる事は中々ない。主にエグゼクティブフロア担当のバトラーだ。各部屋からの頼まれ事を順に対処していくのが主な仕事。

月間の公休シフトの他に週間のタイムスケジュールシフトがある。俗に週間シフトと呼ばれているのだが、そのシフトはバトラーの責任者にあたる高見沢さんが作成している。

一颯さんがバトラーを勤めると知ってから、早くも二週間が立った。クリスマスを含む日程の週間シフトを作成している高見沢さんの背後に立ち、直談判する。

「確かにね…クリスマスだからロイヤルスイートが全室埋まってるけど、あんたは専属シフトにいれないよ!駄目だってば!」

「あの時は…大変ご迷惑をお掛けしてしまいましたけど…、もう大丈夫ですから、ロイヤルスイートの専属シフトにして欲しいです」

予約状況と照らし合わせて週間シフトを作成していた高見沢さんの背後に立ち、意見を述べるが却下された。一颯さんがバトラーになるのなら、私も一緒に過ごしたい。公私混同も良いとこだが、一条様も気になるし、少しでも一緒に居たい。

「……はぁ。そこまで言うなら、サブで入れとくから、各部屋のルームサービスとか手伝いしてよ。他にもエグゼクティブフロアのラウンジとかにもヘルプ行くかもしれないから、それで良かったら…」

「何でも頑張ります!」
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