本日、総支配人に所有されました。~甘い毒牙からは逃げられない~
高見沢さんは大きな溜息をつきながらも、私の事をシフトにいれてくれた。イブもクリスマス当日もロイヤルスイートのヘルプも込みのシフトになった。

クリスマスが終わったら…、一颯さんとイチャイチャするもん。それが例え、年末年始が過ぎてクリスマスとお正月が一緒のお祝いだとしても構わない。忙しかった分、一緒に過ごしたい。

───更に時は過ぎて、クリスマスイブ当日。本日は一条様が御来店する日。どんなお客様なのかが気になり、朝からソワソワしてしまった。

一目見ようと思い、チェックインの予定時間が近付いて来た為、エグゼクティブフロアのフロント付近で待機している。

「支配人、お疲れ様です」

「お疲れ様です」

エグゼクティブフロアにお泊まりの方は、直通エレベーターで向かって頂き、専用フロントがある。

その他、エグゼクティブフロアにお泊まりの方の専用のラウンジやレストランなどが完備されている。

エグゼクティブフロアのフロントに支配人が居るのは珍しくはないが、肩を並べて二人で立つと言うのは初めてだろう。

「一条様を見に来たのか?」

「………支配人をバトラーとして御指名だなんて、興味がありまして」

「まぁ、色んなお客様がいると言う事を知る良い機会だから一緒に待ちなさい」

支配人のお許しが出たので、バトラーとしての仕事が舞い込む迄は一緒に待機する。余計な事は話せないけれど、隣に居るだけでも幸せを感じてしまう。
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