本日、総支配人に所有されました。~甘い毒牙からは逃げられない~
帰り道の車の中、緊張が溶けた私はウトウトと居眠りをしてしまった。前日は緊張し過ぎて、中々寝付けなかったのもある。一颯さんに腕枕をされても、目が覚めてしまっていたのだ。大好きなバンドの曲が子守り歌になり、一颯さんの運転する車の心地好い振動が私に眠気を誘った。

「恵里奈ちゃーん、そろそろ起きて。もうすぐ着いちゃうけど夕飯どうする?」

「…っふぁ、あ、あれ?ここ何処ですか?」

「マンションのちょっと手前のコンビニだよ。はい、ホットミルクティー。気疲れしたでしょ?今日はありがとな。夕飯どうする?何処かに食べに行くか買って帰る?」

グッスリ寝てしまったみたいで、一颯さんの住んでいるマンションの近くまで来ていたようだった。せっかく時間をかけて綺麗にした髪も少しボサボサになっている。一颯さんからホットミルクティーを受け取り、口に含んだ。お砂糖が入っていて甘くて美味しい。疲れた時には甘い物、と言う一颯さんなりの配慮だ。

一颯さんはクシャクシャと私の髪を撫でた。帰りはずっと寝ていただけの私に気を使ってくれて、どれだけ私を甘やかせば気が済むのだろう?

「寝ちゃっててごめんなさい!夕飯は一颯さんが好きな物で良いですよ。帰ってから何か作っても良いですし…」

「恵里奈も疲れてるんだから、作らなくて良いよ。……たまにはさ、ジャンクフード食べたくない?ピザとか!」

「食べたいかも…!たまには良いですね、ジャンクフード食べましょう」

コンビニを出て、ホテルから少し離れたファミレスに向かう。一颯さんとファミレスに入るのは初めて。付き合いが長くなる程、一緒の初めてが増えて行く。

ファミレスに行き、ピザやサラダなどをシェアして食べた後、パフェも食べた。一颯さんは酔ってない時は一口しかパフェを食べなかった。隠れ甘党はお酒が入らないと出ないらしい……。

その後、別の公休日に私の実家にも一颯さんと一緒に挨拶に行く事が出来て、ホッと一安心。両親も妹も一颯さんを見た瞬間に格好良すぎて固まって、フリーズ。同性の父ですら、間近に居るイケメンに戸惑ってしまった、と笑っていた。
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