本日、総支配人に所有されました。~甘い毒牙からは逃げられない~
「…可愛いな、お前。ベッドシーンに反応して顔が赤いのか?それとも、何かを期待しているのか?」

無理矢理に顔を自分側に向け、ニヤリと不敵な笑いを浮かべて頬に触れてきたが、私の身体は強ばってしまう。

顔が近付いてきて目をギュッとつむったが、唇が重なる寸前で止められた。

「………?」

「髪、乾かしてくる」

寸止めされた私はゆっくりと目を開き、支配人の言葉を受け入れるように頷く。

いつの間にかベッドシーンは終わっていて、ドラマの内容などは全然と言っていい程、頭の中には入っていない。支配人が戻って来る前に帰り支度を済ませて、帰ろう。

「…まさか、今から帰ろうとか思ってないよな?」

「…か、帰ってまた明日来ますっ」

帰り支度をしている途中で支配人が戻って来て、私に問いかける。

「夜中に一人で出歩くな、とさっき言ったばかりだろ!俺はシャワーを浴びたし、送るつもりはないからな。…大人しく、泊まって行くように」

ギロリ、と睨まれて「業務命令だ!」とトドメを刺された事に対して、「勤務中ではありません…」と口答えをする。

口答えをしてしまったので倍返しの叱責を想像したが、その逆で「お前の意思でココに来たんだから、ゆっくりと話をしよう。絶対に手は出さない、約束する」と優しく語りかけてきた。

「はい…」と短く返事をし、手に持っていたバッグをフローリングの床に下ろす。

シャワーを浴び、支配人から借りたTシャツに袖を通すとブカブカで肩がズレていた。

生憎、私服にキャミソールを着てきたので、Tシャツの中に着る事により、肩ズレによる下着のチラ見せはなくなる。

良かった…。

「やっぱり大きかったよな?今度来る時は着替えも持って来るように」

「…はい」

ドライヤーで髪を乾かした後、支配人の待つソファーまで移動するとテーブルにはワインとクラッカーなどが用意されていた。
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