本日、総支配人に所有されました。~甘い毒牙からは逃げられない~
長年の寮暮らしで、予定のない休みの日はほぼ自炊していたので、支配人と同じで料理は苦ではない。褒められると照れくさいな。

「…なんなら、ココに住んでもいいぞ。食器も寝具も揃えたし、ないのはお前の生活用品ぐらいだな?それに…子供は双子が産まれるかもしれないぞ?」

「な、な、何でっ、付き合っていたかも曖昧だって話をさっきしたばかりなのに、そうなるんですかっ!?ふ、双子って…!?」

唐突過ぎる話は、結婚を通り越して子供の話にまでなっていた。

「いつも言ってるだろ?嫌なら断われ、と」

「…そうですけど。嫌じゃないですけど…でも…」

突如として振られた話に戸惑いを隠せない。

「俺はお前が好きだから、一緒に居たいと思ったんだ。仕事に一生懸命なところも、すぐ照れるところも…とにかく、可愛くて仕方ないんだ…、離したくない位に…」

右手に握っていたフォークを置き、ギュッと力強く抱きしめられる。

「わ、私も…好き、ですけど…。よく良く考えたら、社内恋愛って…しかも、支配人と…まずくないですか?」

内側に押し込められた腕で支配人の胸を跳ね除けようとしたが、逆効果で両腕を左手で掴まれ、右手は私の頭の後ろ側を支えて、ドサリとソファーに倒される。

「支配人が社内恋愛をしたらいけないと言う規則はない。俺は独身だし、問題ない。

一流のサービススタッフなら、何事もないように社内恋愛も隠し通せ」

「…は…い」

理屈なのか、屁理屈なのか分からない言葉に丸め込まれた。
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