本日、総支配人に所有されました。~甘い毒牙からは逃げられない~
想像するにI·Hは穂坂 一弥(ほさか いちや)という俳優だろう。数多くの女優やモデルと噂になって、週刊誌の常連組。不倫をしている訳ではないので出演などに影響はないらしいが、振られた女性からは殺意も向けられているらしいという噂。

高見沢さんと一緒に予約事務所に向かい、穂坂 一弥だと仮定してPCから情報を探り出す。

「篠宮さん、スイートのHさんは色とりどりの薔薇風呂とルームサービスでのディナーを希望だから、その手配はしてあるから。その他の細かい希望と手配内容はこちらに記載してある」

「有難う御座います」

事務所で調べている間に御要望が書かれた丸秘メモを渡された。

色とりどりの薔薇風呂、ルームサービスのディナー(20時に手配)、モーニングはなし、冷蔵庫の中にはミネラルウォーターや炭酸を準備、朝7時にタクシーを裏口に2台手配など……。

一切、部屋からは出ないとの希望だから今日は泊まり込みになりそうかな?

「あんたみたいな人は…まぁ論外だろうけど、一応、女の子なんだから気を付けてよ。何かあったら、すぐに電話してね。どんなお客様かを把握するまでは待機してるから」

「はい、有難う御座います…」

論外は余計な一言だけれど、私の事は一応気にはしてくれている。高見沢さんは口は悪いが仕事はきっちりこなす人だ。そんなところが一颯さんが認めている証拠だったりする。

「じゃ、健闘を祈る!」

ひらひらと手を振って、予約事務所から先に出て行った高見沢さん。私は高見沢さんを見送った後、チェックインまでの間に部屋の中を再度、チェックする。
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