慈愛のケモノ
いつも。
その日は、同期の真希の失恋話を聞くために居酒屋をはしごしていた。
もともとお酒が強くないのでそんなに飲まなかった私に比べて、真希はほろ酔い状態だった。
足取りはしっかりしているけれど、私の腕に絡みついている。
一年記念を目前にして振られたらしい。他に好きな女性ができたとか。
「もー男なんて良いもん、琉花と一緒に生きていくもん」
すんすんと泣く真似をしながら肩に顔を埋めてくる。こんなに可愛い仕草のできる真希が、本当に私と一緒に生きていくわけもないな、と苦笑してしまう。
「真希ならすぐに次の良い人が見つかるよ」
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