仮面花嫁~極上社長は偽り妻を乱したい~
首を傾げる優莉の目の前で明日美の目が丸くなり、今にもこぼれ落ちそうになる。
「嘘……、優莉だよ」
「え?」
「優莉が百二十四番!」
顔を上げた明日美は、優莉の腕を掴んで体を揺すった。
「もう、明日美ってばやだな」
こんなときに冗談はやめてほしい。
明日美が握るカードを軽い気持ちで見た優莉は、手にしていたフォークをフロアに落とした。毛足の長い絨毯に鈍い音を立てて跳ね返る。
「ここ、ここです! 百二十四番、ここにありまーす!」
明日美が手をあげてぴょんぴょん跳ねる。
「花崎優莉が百二十四番でーす!」
会場内をぐるぐる回っていたスポットライトがサーチライトのごとく優莉にあたり、その眩しさに一瞬目がくらんだ。