仮面花嫁~極上社長は偽り妻を乱したい~
頭の中まで空っぽになり呆然と立ち尽くす。
でもここで感傷に浸っていても仕方がない。なくなったものはどうしようもないのだから。
「……行こう」
自分に言い聞かせるように呟き、駅に向かって歩きだした。
「洋服、どこで買おうかな」
わざと明るく言ってテンションを上げていく。
そろそろ春物も出ているだろうが、今すぐ着られるものがまずは必要だ。もしかしたら冬物のセールが始まり、安くゲットできるかもしれない。
なるべく楽しい方向に考えて不安を蹴散らす。
下着も必要だし、パジャマも買わなきゃ。
あれこれ考えながら電車に揺られ、窓から見える街を眺めた。