仮面花嫁~極上社長は偽り妻を乱したい~
「ようやくいつものキミに戻ったな」
「……え?」
隼は微笑みながら前の席についた。
優莉が情けなく泣きそうになっていたから、元気づけるためにわざと悪態をついたのかもしれない。
何度も与えられる優しさが優莉の心を包み込んでくすぐった。隼の意地悪な言動の裏には常に気遣いがあって、それを見せられるたびにドキッとさせられる。
せっかく宥めた胸の高鳴りが奥の方からせり上がってくる感覚だった。
目の前でガサゴソと音を立てて包みを開けた隼が、ひと足先にサンドにかぶりつく。
「ん、焼きたてというわけにはいかないけど、やっぱりうまいな」
優莉も彼に倣って包みを開ける。
「いただきます」
両手で大事に持って大きな口で頬張った。
「……おいしい」