仮面花嫁~極上社長は偽り妻を乱したい~
「ただいま。いい匂いだな」
「おかえりなさい。ちょうど出来上がったところなんです」
グッドタイミングがうれしくて、ついウキウキして出迎える。後から、なんとなく新婚みたいだと勝手に妄想して顔がやたらと火照った。
手を洗って着替えてきた隼がテーブルにつき、茶わんによそったご飯を優莉がいそいそと運ぶ。すべて出揃い優莉も席につくと、隼は「いただきます」と手を合わせて箸を持った。
隼が料理を口に運ぶのを優莉がじっと見つめる。口に合うか合わないか、それだけがただ心配だ。
カリカリに焼いたチキンを口に入れた隼が、静かに咀嚼をして飲み込む。
「おいしい」
ぽつりと呟いたひと言に実感がこもっていてうれしくなる。
「ほんとですか!?」
「ああ。料理が上手なんだな」
優しく笑いかけられ、ホッとするのと同時になんだかドキドキした。