仮面花嫁~極上社長は偽り妻を乱したい~
それはもっともな正論。普段から呼び合っていなければ、呼ばれた優莉の方だっていちいちドキッとして挙動不審になるのは目に見えている。
「今週末には俺の友達にも会ってもらうつもりだから、優莉も仕事と離れたときには〝隼〟と呼ぶようにした方がいい」
「えっ」
まさか自分にまで同じく科されるとは思いもしなかった。社長は社長だ。
「呼んでみて」
「そんないきなり無理です」
「いちいち気負うから恥ずかしくなるんだ。サラッと呼べばいい」
これを気負わずしてなにを気負うというのか。
ふるふると首を横に振り、テーブルから体を遠ざける。
「それじゃ、呼ぶまでご飯はお預けにしようか」
なんてサディスティックな思考回路なのか。お腹が空いた優莉に〝待て〟をするとは。
むぅと唇を引き結ぶ優莉を見て、隼がニッと笑う。