仮面花嫁~極上社長は偽り妻を乱したい~
「それにしても、ずっとふらふらとひとりでいた隼が本当に彼女を作るとはね」
「ふらふらしていたつもりはないし、しつこく俺にいろんな女性を紹介していたのは誰だよ」
隼が不満そうな目を亮介に向ける。
どうやら優莉に恋人のふりを頼んだのは、亮介に早く彼女を作れと再三にわたって言われていたためらしい。優莉は、亮介の猛攻を避けるための時間稼ぎというわけだ。それだけフリーは楽チンなのだろう。
「なんにしてもよかったよ。優莉さん、ちょっと面倒くさい男だけどよろしくね」
「どっちが面倒くさいんだか」
「はいはい、言い合いはそのくらいにして、そろそろおいしそうなシュークリームを食べましょうよ」
里帆が仲裁に入り、ふたりの口合戦が止まる。
「優莉さん、コーヒーは大丈夫? 紅茶もあるからそっちにする?」
「いえ、大丈夫です」
スティックシュガーは当然ながら一本しかソーサーに乗っていないが、シュークリームが甘いからかえってちょうどいいかもしれない。