仮面花嫁~極上社長は偽り妻を乱したい~
亮介が突っ込み、その場が笑いに包まれた。
でも、隼が今言ったことは全部事実だ。
隼に任せておけばなんの心配もいらないと思わせられる。ひとつのベッドに寝ているのに、優莉にまったく手を出さない紳士的な面も持ち合わせている。……手出ししないのは、優莉を女性として見ていない証拠でもあるが。
さすがは三十四歳。これぞ大人の男の包容力というものなのだろう。
彼のマンションにお世話になって一週間。優莉は、ようやく社内の女性陣が隼を見てキャーキャー騒ぐ本当の理由がわかってきた。
容姿がいいだけではない。それ相応の中身もきちんと備わっているのだ。
「一緒にいると楽しいんです」
無意識に口から出た言葉だった。優莉が呟くように言うと、ワイワイ盛り上がっていた三人の視線がいっせいに優莉に向けられた。
ハッとして口もとを抑える。言葉にしてはじめて、隼と一緒にいる時間が楽しいものだと気づいた。
ちょっとした意地悪をされるのも、からかわれるのも全然嫌じゃない。むしろそうされるのがうれしいのだ。
三人の視線に気づき、優莉が「あ、いえ、その……」と言葉にならない声を発する。なんだかとても恥ずかしい。