仮面花嫁~極上社長は偽り妻を乱したい~

◇◇◇◇◇

優莉が隼のマンションに転がり込んでからまたたく間に二週間が過ぎた。
仕事の付き合いで遅くなる夜以外、隼は優莉の作った夕食を食べ、コーヒーしか飲まなかった朝もしっかり食べるようになっている。

生活のリズムをつかみかけたある日、優莉は出勤早々、マネジャーの寺岡から奥にあるスタッフルームに呼び出された。


「花崎さんに異動の話が出ているんです」


クールブロンでは定期的な人事異動で店舗の活性化を図っているが、配属されて一年にも満たない優莉に話がくるとは思ってもいなかった。どこかの店で退職予定者が出たのかもしれない。


「どこのお店ですか?」


できれば通勤時間が長くならない場所がいいけれど。


「店ではなくて本社なんです」
「え!? 本社に? 私が?」


予想もしない異動先を聞き、声が大きくなる。
ゆくゆくは本社で仕事をしてみたいと漠然と考えていたが、それがこんなに早く訪れるとは思いもしなかった。

< 150 / 323 >

この作品をシェア

pagetop